ティール組織の採用手法

ここではティール組織における採用活動についてご紹介していきます。

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概要

ティール組織では、新しいメンバーを必要とするチームが自ら採用を主導します。マッチングに関しては3つの項目を重視する傾向があります。(後ほど詳述)また、採用のテスト期間(仮採用)を用意している会社も多く、組織との相性を重視していると言えます。

 

各層の組織における採用

レッド組織

レッド組織はボスとメンバーとの信頼関係が重視されます。ボスはメンバーを守り、世話をする代わりに、メンバーに対して強い忠誠心を求めます。そのため新しいメンバーの加入に関しては、ボスへの忠誠心を示すための儀式などがあったりします。

アンバー組織

アンバー組織では、社会の中での立場や階層が採用の基準です。出身や家系によっても就ける仕事が決まっていています。特定の学歴を持っていないと途中までしか昇進できないという日本の公務員なんかもアンバー型かもしれません。

オレンジ組織

オレンジ組織は、何と言ってもパフォーマンス重視、効率重視、業績重視の世界なので、最も能力が高い、スキルが高い、知識がある人を採用する仕組みになっています。

グリーン組織

グリーン組織は、自分たちの文化を守ることを重視しているため、能力のみならず、組織への適合、いわゆるカルチャーフィットが重視される採用が主流です。場合によっては、能力よりも自分たちの価値観が合う人を採用する傾向にあります。これは、“能力はあとからでも身に付けられるが、価値観は変え難い”という考え方から来ています。

 

ティール組織の採用

ではティール組織の採用はどうか?いくつかの特徴を見てみましょう。

チームよる採用

従来型組織では、採用計画は人事部門によって組み立てられ実行されます。人事部門にも目標や基準があるため、彼らのニーズによって採用活動が行われます。そのため、可能な限り自社の魅力を候補者にアピールし、候補者も(場合によっては仮面を被って)選考プロセスに挑みます。

一方のティール組織の採用では、誠実であること、オーセンティック(本物)であることが何より重要視されます。採用は候補者が配属されるチームメンバー主体で行われます。その重要な採用基準は、その人と一緒に仕事をしたいかどうか?です。人事部門はチームにアドバイスを行いますが、最終的に採用の決定を行うのはチームメンバーであることが多いようです。

現場のチームには、採用する人数の目標などはないため、この人は合わないな、と思った人を無理に採用しようとはしません。候補者はチームメンバー全員と会い、オフィスをツアーし、お互いにその職場があっているのかどうかを時間をかけて見極めます。

そのため、ティール組織では、従来型の組織よりも採用プロセスに多くの時間をかけることが多いようです。

ティール組織の採用基準

従来型組織では、募集している職務で求められる能力、スキル、経験が採用基準になります。一方のティール組織では、以下のような項目で採用の決定が判断されます。

職務へのフィット

スキル、経験、および専門知識が募集している職務の役割に合っているかどうかはティール組織でも判断基準となります。しかし、セルフマネジメントの組織では職務が流動的になりがちなため、“職務へのフィット”は最重要視されるわけではありません。

組織へのフィット

もうひとつの採用基準は、文化や価値観、組織へのフィットです。候補者がセルフマネジメントの組織で活躍できるかどうか?仮面を被らずに過ごすことができるか?ほとんどのティール組織では、お互いに価値観が合うかどうかを判断するために多くの時間を費やしています。

存在目的へのフィット

存在目的(エボリューショナリーパーパス)は、ティール組織を特徴づける3つの要素のうちの一つです。候補者は、組織の存在目的に共感しているか?人生の目的と一貫性があるか?が採用の基準になります。そのため、採用プロセスにおいて、候補者は自分自身についても深く理解することになります。

トライアル

多くのティール組織はトライアル(試用期間)を用意しています。たとえば、 Zappos社は、仮入社後4週間のカルチャーキャンプを行います。候補者は、その間にこの会社が本当に自分に合うかどうかを判断します。そして、辞めることを選択した場合には3,000ドルを渡します。入社するよりも3000ドルを受け取りたいと思う人はそもそも同社には合わない、という考えなのです。

モーニングスター社の事例

最後にティール組織とされているモーニングスター社の採用プロセスについてご紹介します。モーニングスター社はトマト製造を事業とする会社であり、ティール組織が有名になる前からセルフマネジメントで有名な会社です。

会社がまだ小さい頃、創業者のクリス・ルーファーは候補者全員の家で面接したと言います。そこでの会話は、モーニングスターの哲学と候補者が持っている期待値が合うかどうか?が中心でした。現在は、すべての候補者はセルフマネジメントについて2時間の解説を受け、10〜12人の社員からインタビューを受けるようになっています。そこまでしても、中途採用者は2年以内に50%が辞めるそうです。セルフマネジメントの運営についていけないからです。

 

 

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