「ティール組織」著者、フレデリック・ラルー氏によるティール組織とインテグラル理論に動画シリーズを要約しています。あくまで要約であり、すべての文言を正確に表現しているわけではございませんのでご了承ください。動画の翻訳については、ラルー氏のHPより「No more permission needed :)(許可必要なし)」とありますので、もし翻訳に協力したい方がいらっしゃれば、以下の動画の「設定」⇒「字幕」⇒「字幕を追加」で追加することが出来ます。
「What roles for the board?(理事会/役員会の役割とは?)」要約
理事会/役員会はどのような”ティール組織”においてどのような役割を果たすのでしょうか?
そして役員会をどのようにして従来型から新しい組織にあったものに変革したら良いのでしょうか?
いくつかの組織では、理事会が物事を従来型の視点から抜け出すことに苦戦しています。
ビュートゾルフ(オランダで有名なティール組織)では、初めは専門性を基に委員会メンバーを選抜していましたが、彼らはあまり組織を理解していなかったので、少しずつ委員会メンバーを新しい組織に対して理解のある人に変えていきました。
これも一つの変容の旅で、理事会を少しずつ新しいバージョンに変革していくのです。
またある組織では委員会メンバーが組織変容に理解を示さず、明確なプランや予算の提示を求められたので、適当に作ったプランで納得させ、改革を水面下で進めていきました。
しかし、目に見える数字的な結果で委員会を満足させなくてはいけないプレッシャーはとてもヒエラルキー的で長期的に良いソリューションとは思えません。
長期的に見て一番良いのは、やはり理事会にあなたが望む理想の組織を理解してもらうことでしょう。
新しい組織の理事会には2つの既存の役割と、2つの新しい役割があります。
一つ目の既存の役割は、会社を監督して法的な義務を果たさせることです。
この役割の視点においては、理事会が組織で何が起きているのかをしっかり把握して、全てがうまくいっていることを確信しておきたいのはとても自然なことです。
ここで生じる疑問が、どうやったら彼らにその確信を与えられるでしょうか?どうしたら従来のやり方でなくても彼らは組織をコントロールできるのでしょうか?
もちろん計画書や報告書といった書類で見せることもできますが、実際はそういった書類はただのイリュージョンなのです。
世の中の組織がそういったやり方をとっているのに突然経営破綻に陥るのは、現実で何が起きているかを理事会が実は把握できていないためです。
書類上の言葉や数字は実はとても抽象的で現実を映し出してはいません。
もちろんそういった報告書を全て廃止するのも極端ですし、数字や報告書には大きな価値がありますが、そういったデータだけを使ったコントロールはある意味イリュージョンなのです。
そこを変えるためには、委員会のメンバーとしっかりと議論することが大切です。
どうしたら現実的に組織を管理できるのか、監督できるのかどうかを。
そしてわたしの考えでは、おそらく結果は理事会のメンバーにより時間を割いてもらうことになるでしょう。
これまでは会議が近づくと突然忙しく書類を用意して、会議にあなたが行って説明するスタイルでしたが、それよりも委員会メンバーを組織に招待し、実際を見てもらうのです。
そのための一つのわかりやすい方法は、アドバイスプロセスに理事会メンバーを招待することです。
理事会メンバーを選ぶ時に、おそらく特定の専門性、例えば法律に詳しい、マーケットに詳しいなど、を求めて選んでいると思います。
そこで、チームで悩んだ時に組織内で解決するのではなく、理事会のメンバーにも相談してみてはどうでしょうか?
そうすることで、理事会メンバーは組織により深く、現実的に関わることができるようになるのです。
もしくは、報告書作りのプロセスに招待するのもいいかもしれません。
プレゼンを発表するのではなく、組織に招いて一緒に作ることで理事会はより深く組織に関わることができるでしょう。
とにかく大事なことは、どうやったら理事会が会社を管理/監督するというニーズを満たせるかどうかです。
2つ目の大きく変わり得る既存の役割は、CEOの指名です。
というのも、新しい組織への変容中にCEOが変わったとして、もし理事会が伝統的なやり方を好む人を選んだ場合、組織は従来の方向に戻ってしまいます。
では、理事会という法的な役割の中でどうやったら最適な人材を選ぶことができるのでしょうか?
ここで提案したいのは、理事会がCEOを1人選ぶというよりも、CEOが現れるプロセスを作るということです。
他のビデオでCEOについて色々語ってきましたが、新しい組織ではCEOをタイトル、枠の中で捉えるのではなく、その人が担う役割という視点で考える必要があります。
なので、CEOが変わる時は前任がどのような役割を担っていたか考えてみてください。
例えば、組織全体の目的を意識させる役割や組織変容の招待状を皆んなに送り続けて新しい組織のことを思い出させる役割など、、、。
こういった役割を担えるどうやったら他の人に任せるかを考えてみてください。
ヒエラルキー的に誰かこのポジションにつくのか、という競争の概念で考えるのではなく、役割を明確にした時に自然に現れる誰かがCEOになるべき人です。
具体的な一つの方法は、候補者を選ぶプロセスです。
ホラクラシーなどで調べると出てきますが、まず原則として候補者は選びません。
組織全員に聞くか、自然とそういった役割を果たせそうな人を知っている身近な人たちに推薦してもらうのが良いでしょう。
そうすることで自然とCEOに相応しい人材が出てきます。
WL GoneでTerry KellyがCEOに選ばれた時、実際に似たようなプロセスを採用していました。
理事会は沢山の人に誰がいいかを聞いて回り、CEOを選んだのです。
では、次に既存ではない新たな理事会の2つの役割について話します。
一つは、組織のトップ達と深く、個人的な会話ができるスペースを作ることです。
彼らが今どこにいるのか?楽しんでいるのか?まだ学んでいるのか?次の目標は何か?
また、あなたの人生の目的や目標と組織の目的は密接に繋がっているか? …etc.
私たちは皆んなそういったスペースを求めています。
そしてどれだけ頑張ってもこういったスペース、機会は組織のシニア層には自然と訪れることはありませんし、若い層がリーダー達にそういった会話を投げかけることも少ないはずです。
なので、理事会がその役割を担うことはとても自然で美しいことなのです。
もう一つの新たな理事会の役割は、組織外部の視点をもっと組織にもたらすことです。
以前モンテソリスクールの大きなネットワークをリードするある友人との会話で、理事会について聞かれたことがありました。
私はその時、彼にこう言いました。
理事会の中で最も外部の視点をもたらし、私たちにチャレンジを与えてくれ、新たな刺激をくれる人は誰か考えてみたほうがいいと。
これは理事会の人でなく他の人でもいいのですが、これはとても興味深い理事会の役割だと思います。
理事会の誰かがあなたに学びの旅をもたらしてくれるのです。
これが理事会の新しい役割で、これは理事会にとってもとても価値のあることだと思います。