「ホラクラシーやソシオクラシーなど既存モデルの導入」動画(4.1.23 )の要約

「ティール組織」著者、フレデリック・ラルー氏の動画シリーズを要約しています。あくまで要約であり、すべての文言を正確に表現しているわけではございませんのでご了承ください。動画の翻訳については、ラルー氏のHPより「No more permission needed :)(許可必要なし)」とありますので、もし翻訳に協力したい方がいらっしゃれば、以下の動画の「設定」⇒「字幕」⇒「字幕を追加」で追加することが出来ます。

「ホラクラシーやソシオクラシーなど既存モデルの導入( Adopting a ready-made system? Holacracy, Sociocracy)」要約

ホラクラシーやソシオクラシーなど既存モデルの導入

組織を自主経営に切り替えるにあたって、自分なりのセルフマネジメント手法を確立していくか、既存のやり方を取り入れていくか、という基本的な選択肢を迫られるかと思います。私が思うに、スピードと抵抗(resistance)のバランスで決めればいいと思います。既存のやり方を持ってくれば手っ取り早いですが、社内から抵抗が生じることも考えられます。既にあるやり方を導入するということは実験的な段階を飛ばすため、社員が新しいやり方に徐々に慣れる時間が減るわけです。「組織が変化できる状態にあるか?」と問うてみてください。

 既に自主経営に切り替える準備が整っている段階の組織もあるでしょう。そういう状況であれば、既存のやり方を導入すれば、効率的に移行プロセスを進めることができます。そうでなければ、反発されるでしょう。自主経営にあたり、コーチが様々な準備事項を行ってきたのでうまくいくと判断し、ホラクラシーを導入したところ、とても良く機能したという前例もあります。またバスク諸国で行われているような、投票によって自主経営への意欲を測るやり方もあります。

 組織としてまだ十分にその段階にない場合、反発が起きてしまいます。その考えが馴染んでなければ、ある日職場に行ってそんなことを言われても、また何か上が新しい余計なことをやろうとしている、とため息をつくことになります。そして、とりあえずよくわからないが、言われるやり方を取り入れて実践する、ということになってしまってこれらのツールが持つ本来の目的が果たせないことになります。ですから組織の状態を考える必要があります。

 また、これはどっちを選ぶか、という質問でもありません。実際にはその二つをうまく組み合わせながら進めていくことになります。独自のやり方で進めていって、適当と判断したら既存のやり方を導入したり、逆に既存のやり方で始めてある段階でどうもこの組織には合わなくなってきたので独自のやり方に変えよう、ということもあるでしょう。

 もう一つ考えるべき点としては、組織に独自のやり方を作り上げていく意欲や力があるか?です。組織によっては、セルフマネジメントのやり方を学び、自分たちなりのやり方を創り上げていくことに意欲的なところもあれば、組織目的を達成するための、体質を変える一つのツールである、と考えてる組織もあるでしょう。後者の場合は既存のツールや外部コーチ、コンサルタントを活用して組織変化を起こすでしょう。このように、まずは組織が移行できる状態にあるか、そして、独自のやり方を開発する状況にあるか、それとも外部リソースを活用するべきか、考えてみてください。

 また、常にあなたの考えに偏りがないか注意してください。自分では独自のものを実践したいと思っていても、組織として外部から既存モデルを用いた方が適当なこともあります。あるいは自分としては手っ取り早く切り替えていきたいが組織としてその段階にない場合もあります。自分には独自のやり方でやっていく力はないと思っても、社内にそれができるリソースがある場合もあります。自分だけの考えで進めないようにしてください。

 ソシオクラシーやホラクラシーという、よく知られている二つのモデルについて考えましょう。ソシオクラシーはもっと漠然としたことなので少し難しいですが、たとえばソシオクラシー3.0ではフレームワークからパターンを選択し組織に適用するやり方で、それについてたとえば組織に最適なパターンの選択などをトレーナーに任せるのはおすすめしません。

 ホラクラシーは少し異なります。一つのシステムとして明確なやり方があり、面白いことに好き嫌いが両極端に分かれます。嫌いという人はたいてい、あまりよく理解しないままに実践した人が多いように思います。ホラクラシーが自分の組織に合ったやり方かを判断する際に考えてみて欲しいことがあります。まず、ホラクラシーは一つのシステム化したツールであって、それをある意味、トップダウン的に導入することになります。いったん組織に適用されれば、非常にフレキシブルなやり方で、独自に進化させていくことが可能ですが、最初はトップダウン式になるのは事実で、それゆえ、反発もあるでしょう。むろん、試験的に組織の一部で導入してうまくいけば拡大する方法や、投票して決める方法など導入にあたってできることはいろいろありますが、厳密にはリーダーが決める、ある意味矛盾した独断が必要です。

ホラクラシーは他のどんなシステムにも言えることですが、創った者の考え方を反映しています。ホラクラシーを提唱したBrian Robertsonは、とかくはっきりさせることを重視している人で、ホラクラシーにはその考えが根底にあります。ホラクラシーではやり方が明確に設定されています。そういったカルチャーの組織であれば、とてもうまくいくでしょう。一方で、ホラクラシーがどういったシステムなのか学ぶのに大きな苦労を伴うのも事実です。組織によっては、それが性質に合わないこともあるわけです。Buurtzorgみたいな組織には合わないと思うし、一方で例えばIT会社でそういったカルチャーが既にある、というような場合は馴染むやり方でしょう。自分の組織に照らし合わせて考えてみてください。

 また学びの段階が大きいために、必然的に社員が組織の変化に意識を取られるという事態が生じてきます。そうなると社外対応が手薄になるリスクもあります。ホラクラシーでは特にそうなるリスクはあるので注意が必要です。もう一点、ホラクラシーは「オペレーティングシステム」という面において非常に細かくやり方が定められています。一方、パフォーマンス評価や人材採用などに関しては特定のやり方を定めていません。ですので、自主経営への切り替えにホラクラシーを導入しようとしているのであれば、この点は留意すべきです。

 最後に、ホラクラシーは「組織スペース」だけを対象としたものであって、個々のパーソナルな面や対人については触れていません。よく耳にするのが、ホラクラシーにおいて組織のやり方など学ぶ面は多いが、人間的な部分があまりなく、どうも機械的な考えになってしまうという話です。ホラクラシー自体にそのような意図は当然ないわけで、組織の人情的なものを維持しながらホラクラシーを取り入れればいいだけなのですが、それを忘れがちになる可能性があります。また、ホラクラシーのコーチングはいろいろありますが、内面の葛藤などはそこまでカバーされません。

 既存のモデルを導入する際の判断の参考になればと思います。繰り返しになりますが、自分の組織の状況を鑑みて独自のやり方を開発していくのか既存のモデルを利用するのがベストか考えてください。

 

 

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