「あらゆる「段階」におけるセルフマネジメント(How to talk about self-management from all stages)」要約
あらゆる「段階」におけるセルフマネジメント
「セルフマネジメントが浸透するには組織にいる者が既にティール組織的な考え方を持っている必要があるんじゃないですか?」という質問をよく受けます。幸運にもその必要はない、というのが私の答えです。ティール的に組織している、あるいはずっとしてきた組織は多く存在しますし、組織にもいろいろな人がいて、多様な考え方を持っています。今回は珍しく成人発達や意識の段階などについて触れます。本に書いた段階やカラーなどの話についてある程度理解いただいている前提で話します。こういう類の話が苦手な人は今回は飛ばしてもらっても構いません。
まず誤解を解いておきましょう。セルフマネジメントでは各人が常に責任感を持って能動的に新しいことに動いていると考えている人がいますが、そんなことはありません。多くの人はルーチン業務をこなしているわけです。機械を使って作業しているとして、機械が古くなったらあなたが率先して動き新しい機械を買わないといけないということはありません。もちろんしたければそうすればいいし、素晴らしいことです。それをする人もいれば、他人に任せておこうというようなタイプもいるわけで、それは当然です。
その上で、様々な価値観にセルフマネジメントがどのようにフィットするか考えてみましょう。ある組織がセルフマネジメントに切り替えたとします。大きな変化です。しかし、最終的には組織に属する誰もが新しいシステムに馴染み仕事していけるのです。例えば、古典的な考えを持つアンバータイプの人にとって、しっかりとした組織構造があること、事態が予測ができること、事態をコントロールできることは非常に重要ですが、これらはセルフマネジメント的な組織でも何ら変わらず保っていけることです。新しいルールや構造がきちんと理解され、カオスになることなく実施できると思えれば、彼らはこれまでのように仕事を進めていけます。ですから、私は新しいやり方はしっかりと説明することが大事だと強調するのです。変更点が不明瞭で混乱すると感じてしまうと特にこのタイプの人間はとかく神経質になりますが、しっかりと理解できていれば問題なく業務にあたれるはずです。
オレンジタイプの人間は競争心に燃えているので、セルフマネジメントにおける新しいルールを説明し、やる気を起こさせてあげたらいいでしょう。皆さんよく見落としているのが、自主経営の職場では健全な競争を実現することが可能である、という点です。自分の価値や成果を認められるには、有能で周りを助ける人材になることが大切であって、それはアドバイスプロセスやスキルを活かしてそれが提供できれば周りからは評価されます。こういった競争を楽しむ人もいるわけで、またそれは健全でポジティブな競争です。さらに、グリーンタイプの人にとっては、セルフマネジメントは素晴らしい組織のあり方です。権力を振りかざすのではなく力を合わせて仕事ができるし、ヒエラルキーのない、意見の尊重される場なので、グリーンタイプの人にとっては嬉しい変化です。
結論として、私は「セルフマネジメントはどんなタイプの人でも受け入れられる仕組み」だと思います。ただ、誰しもが能動的に自主経営に参画するわけではありません。多くの社員にとっては、もし自分が会社の社長やCEOだったなら従来の階級的なやり方の方がわかっているのでそれを選ぶでしょう。でも、組織のリーダーがセルフマネジメントに切り替え、参画を促したなら問題なく仕事していくことでしょう。新しい構造や導入事項が明確に理解されたなら、新しい変化が上手く機能していくことは多くの組織で実証されています。
[cta id=’152′]