「ティール組織」著者、フレデリック・ラルー氏によるティール組織とインテグラル理論についての動画シリーズを要約しています。あくまで要約であり、すべての文言を正確に表現しているわけではございませんのでご了承ください。動画の翻訳については、ラルー氏のHPより「No more permission needed :)(許可必要なし)」とありますので、もし翻訳に協力したい方がいらっしゃれば、以下の動画の「設定」⇒「字幕」⇒「字幕を追加」で追加することが出来ます。
「2.3 Where to start (1)(どこから始めるべきか(1))」要約
組織のトップにどれだけやる気があっても、どこから始めるべきか迷ってしまう人がたくさんいます。
そこで、何から始めるかを明確にするためには次の2つの問いについて考えてみてください。
1つ目は、「組織のどこに”痛み”があるのか?」「どこにエネルギー(成長の源泉)が留まっているのか?」そして「現在の組織の仕組みの限界を超えたエネルギーはどこにあるのか」を考えることです。
例えば、ある会社で予算作成に非常に多くの時間と労力を割いて、組織の全員にとって予算作成が悪夢であるとすれば、その組織において取り掛かるべきところは予算作成となります。
また、ある病院では整形外科手術が非常に難しく、複雑で、トップによるマネジメントが難しいという問題がありました。この場合は整形外科チームにセルフマネジメント適応してみるのが良いでしょう。
更に、過去に経営トップの四人に権力が集中しすぎている不動産会社がありました。どの国に、どの街の市場を開拓するかどうかを四人だけで決めていたのですが、一旦セルフマネジメント組織に変革し、意思決定権を広く分散させたところ、売上は右肩上がりに大きく成長しました。
このように、組織のどこに痛みがあるのか、どこに成長を滞らせる要因があるのかを考えてみると、変革を始めるべきところが見えてきます。
2つ目の問いは、組織全体ではなく、経営トップだけに当てはめて考えてください。
「あなたのどこに痛みがあるのか?」「あなたは何を望んでいるのか?」「あなたは一体どこにいるのか、何者なのか?」
あなたが当たり前に経験している日常の慣習、つまり組織の仕組みは最終的に非常に虚無的、もしくは攻撃的になるかもしれません。
例えば、人事評価システムにおいて社員を評価する時、ルールに乗っ取って行っても自分が納得できない場合は、システム自体を変えるべきでしょう。
またクライアントとのミーティングで、経営トップのみが出席している時に、実際にプロジェクトを進めていたチームがその場にいないことに違和感を覚えるかもしれません。その場合はそこから変えていきましょう。
どんなに小さなことでも、自分の望みと違う/痛みを感じることがあるならば、そこに着目し、組織の仕組みをより良いものに変えていきましょう。
ビデオの2.1でも言ったように、組織の再編成には完璧なプランは必要ありません。
ただ、気づいたことから始めていけばいいのです。手探りでやってみながら、全体をより良いものに少しずつ変えていくのが大切です。
上記の2つの問いは、そう言った気づきを与えてくれるでしょう。
「2.4 Where to start (2)(どこから始めるべきか(2))」要約
組織の変革をどこから始めるべきなのか、の2回目です。
従業員が100人以上の企業だと、一気に全てを変えるのは非常に難しいです。
この方法では、組織を機械ではなく、生き物としてとらえるため、トップダウンで一気に物事を進める方法は取りません。
それでは、具体的に役立つ4つの始め方を紹介します。
1つ目は、組織の一部(Pilot)でのテストを行うやり方です。
一気に組織全体に新しい制度や方法を適応させるのは難しいため、まずは組織の一部でテストを行います。
Pilotの選び方は、2.3でも紹介したような組織の中で最も痛みを抱えているところです。そういったところには改革の需要があるため、快く協力してくれる社員もいるでしょう。
しかしこの時に注意して欲しいのが、Pilotでテストすることを、リスク回避の施策だと思わないで欲しいということです。
つまり、「組織全体を同じ方法で一気に変革するのはリスクが大きすぎるため、まずは一部でテストをしてうまくいったら全体に同じ方法を適応していく」、というマインドセットでは従来の機械的な組織論と変わりません。
この方法では組織は「生き物」として認識し、更に一番大切なのが経営者が一番正しいと思う方向に組織を変えていくことなので、リスク回避の視点ではなく、組織にとって正しいこと/経営者が理想とする組織を作るためにやるべきことをやる、という視点でPilotでのテストを始めてください。
2つ目のやり方は、一つの特定の制度、例えば新しい予算プロセスや人事評価システム、を組織全体に適応させることです。
ここで大切なのが、この新しい制度を一緒にデザインするボランティアグループを募ることです。
このボランティアグループは巨大であればあるほど良いです。なぜかというと、より多くの人が集まれば集まるほど、より多くの社員が新しい制度を支持してくれるからです。
そしてここでボランティアと作り上げた制度は、一度作ったら終わりではなく、どんどん改善を続けていくことが重要です。
3つ目の方法は過去の事例から得たアイデアですが、既存の会社の他に新しい会社を作り上げ、1から組織を作っていくやり方です。
新しい理想的な組織を作り、既存の組織の事業をどんどんそちらに移行していくことで、既存のシステムを変革する必要が無くなります。
確かに大きい会社で突然そのミニバージョンを作るのは難しいことですが、例えば事業の一部だけを新しい組織に移行させルところから始めれば、できないこともありません。
4つ目の方法は、組織全体に実験を呼びかけ、促すやり方です。
特に規模の大きい会社では、新しいことを一気に全体に適応させるのが非常に難しいです。
そこで、組織全体をセルフマネジメントに移行させたい趣旨を各ユニットに伝え、それぞれでテストを行ってもらうよう促します。
ここで理解しておかなければいけないのが、各ユニットで物事が変わるスピードは違うということです。
人はそれぞれ違うアプローチを取ります。そのため、あるユニットが他のユニットより成功しているということが起こるのです。
そうなると、うまくいっているユニットから学ぼうという組織内の動きが始まり、その方法が広がり、発展し、確立されていきます。
そして、組織内で一つの方法が広く行き渡っていることが確認できたら、それを仕組みとして標準化しましょう。
以上が4つの始め方の例です。
大きい会社ではこれらのやり方は恐らく複数を組み合わせて行うことになるでしょう。
[cta id=’152′]