「ティール組織」著者、フレデリック・ラルー氏によるティール組織とインテグラル理論についての動画シリーズを要約しています。あくまで要約であり、すべての文言を正確に表現しているわけではございませんのでご了承ください。動画の翻訳については、ラルー氏のHPより「No more permission needed :)(許可必要なし)」とありますので、もし翻訳に協力したい方がいらっしゃれば、以下の動画の「設定」⇒「字幕」⇒「字幕を追加」で追加することが出来ます。
「Tension between experimentation and standardization(実験と標準化の間のバランス)」
組織を変革する時に、必ず出会うであろうテンションがあります。実験(experimentation)と標準化(standarization)の間のバランスです。
無意識に遭遇することもありますが、意識していた方が意味があるでしょう。
私たちは皆全てが標準化されているはず、されるべきであるという観念を持っています。制度やプロセスは組織内で統一し、変更する場合は、一部で先に実験をした後に全員に適応するというように。
セルフマネジメント組織でも、そのように初めから統一感を持って新しいプロセスを組織全体に標準化することはできます。
しかし、ほとんどのセルフマネジメント組織は違うルートを辿って組織を再発明してきました。
彼らは人々に向かう基本的な方向性を示した後、人々に様々な実験をさせました。
しばらくの間は、同じ方向を向いて同じゴールを目指しながらもやり方はそれぞれ違い、うまくいくところもあれば苦戦するところもある、という状態が続きます。
つまり、実験と標準化の間に緊張感があるわけです。
実験のメリットは、多くを素早く学ぶことができることと、人が参加しているという当事者意識を持ち、上から強制する必要がないため、より多くのエネルギーが生まれることです。
一方、標準化にもメリットがあります。
実験状態が長く続きすぎると人はだんだん混乱してきます。
そのため、一定期間に渡る実験の後には発展したプラクティスを標準化する価値があります。
実験の適切なタイミングと標準化の適切なタイミングを見極めてください。
この時に大切なのが、リーダーとしての個人の好みでタイミングを決めないことです。組織が本当に標準化が必要な時がいつかを聞いてください。
私はリーダーが標準化を早まりすぎてしまうトラップにかかった組織をいくつか見てきました。社員が十分に実験から学びを得られておらず、未だにトップダウン式の形を残してしまうのです。
逆に、標準化を全く行わなかった組織では、社員は何が起きているのか、どうしたらいいのかわからず混乱し、最終的には標準化が悪であるという間違った観念が組織に根付いてしまいます。
しかし、組織には明瞭性が必要です。ゲームのルールがわかっている方が仕事は断然楽です。
覚えていて欲しいのは、この新しい世界においては、これらのルールは暫定的なものであり、いつでも変えることができるということです。
私が伝えたいのは、標準化すべき/すべきでないという概念を持つことより、現状を見て、組織の声を聞いて判断してすべきであるということです。
まずは実験し、イノベーションを起こしてから、そこに痛みやストレスが見え始めたら、その時が標準化を進めるタイミングです。
しかし、全く標準化しなくていいものも存在します。
これは私にとっても新しい考え方でしたが、オランダのビュートゾルフ(ティール組織の事例)が決まったパフォーマンス評価のプロセスを持っていないことから、この考え方に気づきました。
ビュートゾルフでは、年に一回全員で集まってお互いにフィードバックを行うというシンプルなガイドラインのみが存在します。しかも、そのやり方はチーム次第で、組織全体に標準化されたプロセスは必要とされていないのです。
標準化が価値を生み出すのは、組織全体で統一する必要がある時のみです。
例えば、役職名。初めはチームごとに役職名を決めさせて実験させますが、それぞれのチームで役職名が違うと、同じ役職名の違うチームの人と話したい時、誰と話せばいいかわからなくなってしまいます。
この場合は役職名を標準化する価値があります。
しかし、チーム内で完結できる場合は組織で標準化する必要はありません。
私たちは常に規模の経済の考え方で標準化を過大評価しがちですが、物事を概念化するのはやめて、常に現状を見て、実験すべきか標準化すべきかを判断するようにしましょう。
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