「ティール組織」著者、フレデリック・ラルー氏によるティール組織とインテグラル理論に動画シリーズを要約しています。あくまで要約であり、すべての文言を正確に表現しているわけではございませんのでご了承ください。動画の翻訳については、ラルー氏のHPより「No more permission needed :)(許可必要なし)」とありますので、もし翻訳に協力したい方がいらっしゃれば、以下の動画の「設定」⇒「字幕」⇒「字幕を追加」で追加することが出来ます。
「How to work with people who resist(抵抗する人とどうやって一緒に働くか)」要約
この変容の旅、組織の変容について議論している時によく聞かれるのが、抵抗・反対する人たちとどう向き合うか、という問題です。
そして変容に成功した多くのリーダーたちによると、一番の対処法は抵抗する人に焦点を当てず、熱意のある人に焦点を当てることだそうです。
これには3つの理由があります。
1つ目は、エネルギーを正しい方向に向けるためです。熱意のある人に焦点を当てることで、抵抗する人を気にしないようになり、エネルギーは自然と正しい方向へ向いていきます。
2つ目は、エネルギーを無駄にしないためです。抵抗する人と向き合うことは多くのエネルギーを要し、そこで使うエネルギーはあまり生産的でないことが多いのです。
3つ目の理由は、熱意のある人に焦点を当てることで、彼らの中に抵抗する人に向き合ってくれる人が生まれるからです。彼らは、抵抗する人にネガティブなエネルギーを持ち込まないように促してくれるようになるのです。
抵抗者にとってもリーダーに言われるよりも仲間に言われた方が効力は大きくなります。
ただ、この時に注意すべきなのが、人を型にはめて決めつけないことです。
私はここで「熱意のある人」と「抵抗する人」で分けていますが、何らかのラベルをつけることは非常に危険で、この抵抗者の現象はとても一時的なものかもしれません。
初めにとても抵抗していた人が変容の最後には非常に熱心な人に変わっていることもよくあります。
もしかしたら抵抗している人は、過去の経験から単にとても批判的になっているだけかもしれません。
彼らのレッテルを信じてしまうと、抵抗者を無視し、ひどい扱いをしてしまうことがあります。
組織の変容の品位は、あなたが抵抗する人をどう扱うかで決まります。
もちろん上述したように多くのリーダーが語っていた方法には効果はありますが、大切なことは常に全員に変容の招待状を送り続け、受け取ってくれた人にフォーカスするのが良いでしょう。
そして私が思うに、受け取ってくれない人にも敬意を示すのが大切です。
もしかしたら彼らの批判的な態度は、過去の経験から保証されているかもしれません。過去に同じことを試して仕組みのせいでうまくいかなかったのかもしれません。私たちはそれを認識し、敬意を表するべきなのです。
ここで、上述したのと全く異なる答えを提示したい。
もしかするとあなたは抵抗者と向き合ってもいいかもしれません。
ここで大切なのが、彼らの不平の表面的な部分だけを見るのではなく、より深いレベルで好奇心を持って潜んでいるニーズを探ることです。
彼らの不平/不満は生産的でないかもしれないが、その下のニーズは非常に興味深いものです。
典型的な抵抗者は、セルフマネジメントになるとどうやって組織が運営されているか理解できなくなるからです。
私は何を期待されているのか、何が起こるのかわからないため、組織に貢献するためにまずは明確さが欲しいのです。
この場合、抵抗者は変容に何が必要なのかを教えてくれる存在となります。
ティール組織/インテグラル理論のステージでいうと、アンバーに当たる所の明確さを求めるニーズです。
抵抗者は、熱意のある人が上部でこじつけていた現実的なニーズを指摘している可能性があるのです。
例えば、ある組織では、変容の中で過去の組織で良かったことまが否定されていることに納得がいかなかったために抵抗していた人がいましたが、彼女は単に過去の良かったことを皆んなで認識してから前に進みたかっただけでした。
大切なことは、人の声を聞き、そこに潜むニーズに焦点を当てることなのです。皆んなで集まってそれぞれの思いや不安を聞く会を開催するのもいいでしょう。
私の最終的な結論としては、上にあげた2つの方法を組み合わせるのがいいということです。
熱意のある人に焦点を当ててエネルギーをそちらに注ぎつつ、少しだけ抵抗者にも時間を割いて、彼らの深いニーズを知ることで、彼らのためだけなく、自分や組織全体のために必要な今まで見えていなかったことを探ってみましょう。
しかし、行き過ぎたケースで抵抗者が一線を超えてボイコットやサボりを始めた場合は、すぐに強制的に介入する必要があります。
セルフマネジメント組織において強制的になることは矛盾しているように感じるかもしれませんが、この場合は多少強引にならなくてはいけません。
あるフランスの組織では、CFOが非常に反発的で組織の変容を妨害していたのでCEOが介入し、彼を役割から下ろしました。
その後しばらくするとCFOは戻ってきて、泣きながらCEOの介入に感謝したそうです。
一般的にCEOは、介入に非常に慎重になります。
彼らを介入しにくくさせているのは、単に同僚たちがこの変容についてどう思っているか、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを話す機会を設けていないからです。
そのため介入するよりも、まずは人々がこの変容の経験について話し合える場を設けて、同僚同士で解決できるプロセスを作るのが良いでしょう。
最後に、少し違った形として、抵抗ではなく無関心という場合もあります。
私はあるチリの農地ビジネスの組織のリーダーとの会話を鮮明に覚えています。
そこでは、多くの社員が無関心だったそうです。
彼らはきちんとした教育を受けてこなっかった人達で、長い間見下され、自信を失っていて、リーダーの送った組織変容の招待状に全く関心がなかったそうです。
彼らは長い間無下に扱われてきたため、色んなことに疲れてしまったのかもしれません、もしくは過去の酷い扱われ方に怒りを感じているのかもしれません。
しかし、リーダーは彼らの過去の経験にとても同情し、彼らを何とか助けてやりたい、環境を変えてやりたいという思いがありました。
そこで私は、その熱い思いを彼らに伝え、彼らの声を聞いて話し合うことから始めるのが良いとアドバイスしました。
その後何が起こったのかはわかりませんが、きっと彼の組織では力強く、美しい会話が繰り広げられたことでしょう。