「ティール組織」著者、フレデリック・ラルー氏によるティール組織とインテグラル理論に動画シリーズを要約しています。あくまで要約であり、すべての文言を正確に表現しているわけではございませんのでご了承ください。動画の翻訳については、ラルー氏のHPより「No more permission needed :)(許可必要なし)」とありますので、もし翻訳に協力したい方がいらっしゃれば、以下の動画の「設定」⇒「字幕」⇒「字幕を追加」で追加することが出来ます。
「Reality and shadows of the transformation(変容の現実と影)」要約
このトピックは少し哲学的に聞こえるかもしれませんが、実は非常に現実的な示唆を含んでいます。
考えてみてください、この変容の旅を続ける中で起こる起こるいくつかの変化の中で、メンタルモデルの中で物事を見て生きるのではなく、現実の中で見て生きるというもの変化が起こります。
私たちよく現実そのものではなく、心理の中の現実のプロジェクションを見ています。
そのため、時に存在していないのに見えるものや存在しているのに見えないものがあるのです。
例えば、あるCEOが戦略立案をしたいとします。しかし、彼になぜそれをしたいのかと聞くと明確な答えが帰ってきません。
彼は戦略が必要であるという固定観念に縛られて、見えない圧迫感にかられているのです。
もう一つの例です。私たちはどのくらいの頻度で、まだ起こっていない問題に対するポリシーや手続きについて考えるでしょうか?
何か起きた時のために用意しておこうと考えてしまいがちですが、大抵は問題が起こった時点で対処を考えても間に合います。
つまり、存在していないもしくは今後も起こらないかもしれない問題について私たちは考えているのです。
私たちは現実になっていない潜在的なリスクについて予見して準備することが当たり前の世界に生きていますが、95%のリスクは実際に起きてから対処できるのです。
逆のパターンもあります。
現実に存在しているのに見たくないから見ないものです。
この組織変容の影に関するセッションに数ヶ月前に参加しました。そこにはセルフマネジメント組織にも何か落とし穴があるのではないかと心配する多くの人が集まっていました。
そこで気が付いたのは、私たちがこの落とし穴を影と呼ぶ理由は、見たくない現実だから影に追いやっておこうとするためです。
なぜ見たくないのか?それは私たちのメンタルモデル、固定概念にフィットしないからです。
いくつか事例を紹介しましょう。
ある組織では、変容しても結果の数字が芳しくありませんでした。しかし、ティールやセルフマネジメントといった新しい組織では、結果や数字よりも感情や人を大切にするために、この組織では結果を影に追いやって見ないようにしてしまったのです。
確かに感情は大切ですが、結果ももちろん大切なので現実に向き合って対処しなくてはいけません。
また、違う組織では仕事を妨害しているがいましたが、新しくなった組織では皆んなが平和に働くものだというメンタルモデルからその事実を影に追いやっていました。
しかしそれはただの固定概念であり、現実ではあなたやあなたのやりたいことを妨げている人がいるので対処しないくてはいけません。
もう一つ典型的な例をあげると、新しい組織ではトップが意思決定をしないというメンタルモデルからトップが何もしなくなることがあります。
しかし、それは大きな間違いで、現実的にはヒエラルキー的でない方法でトップが意思決定をできる道を探すべきなのです。
以上のような事例がなぜ起こるのか、つまりなぜ影が生まれるのかは、ティールやセルフマネジメント組織では「これが起きてはいけない」「あれがあってはいけない」というメンタルモデルがあるからなのです。
これに対処するには、心理的な訓練が必要です。
メンタルモデルに沿って考えるのではなく、なるべく現実をそのままみる訓練が必要なのです。
ホラクラシーでは、tension(テンション)という言葉を使います。
これは問題や機会について話す中性的な方法ですが、私がこの言葉について興味深いと感じたのは、私たちがテンションを感じる時は現実に何らかのテンションがあって、それを頭ではなく体のどこかで感じているということです。
何か問題が起きていると感じる時やワクワク感やチャンスを感じる、そういったテンションは頭で言葉にするよりも先に体で感じています。
そのため、メンタルモデルの中に生きるのではなく現実に生きることは、より良いセンサーになることだと言えるでしょう。
頭ではなく体で、何が起きているのか、何がよりよくなるのかといったテンションを感じられるようになれば、現実を捉えることができるようになるでしょう。
とにかく、私のアドバイスとしては現実をなるべくそのまま見るようにして、周りの人と話をする中で自分が影に追いやろうとしているテンションを感じ、問題に対処しましょう。
一方、何かテンションを感じた時は一度立ち止まって、「これは本当のテンションなのかどうか」を考えてみてください。時には、意識するばかりに何かを作り上げてしまっている可能性もあるからです。
この訓練が大切な理由は、人がメンタルモデルの中でいきている時、つまり影に現実を押しやっている時は、多くのエネルギーを消費しているからです。
現実をそのまま受け止めることで、エネルギーや行動力や人間性も戻ってきます。
そしてこれは組織としてはもちろん、個人にとってもこの変容の旅がもたらしてくれる素晴らしいことのなのです。