ティール組織とホラクラシー型組織、どちらもフラットな構造で管理しなくても生き物のように成長していく自律型組織(Self-Organization)です。
自律型組織とは伝統的なトップダウン式の階層型組織と異なり、組織の上層部に権力を集中させるのではなく、社員それぞれに権限を与えることによって、社員のエンゲージメントを高め、組織が上からの指示がなくても勝手に成長していく組織モデルのことです。
そんな自律型組織の中にも多くの理論が存在し、有名なのがホラクラシーとティールです。
今回は、そんな両者の違いについて説明します。
1. ティール組織とは?
ティール組織とは、フレデリック・ラルー著の10万部のベストセラー「ティール組織」に記された新しい次世代の組織モデルのことです。
ティール組織は発達心理学を組織に応用し、組織が時代や人間の成長に合わせてどのように進化してきた/すべきなのかを明らかにしています。
組織の発達レベルを5つの色に分類し、その最先端にあるのがティールです。
ティール組織には、3つの重要な考え方が存在します。
①自主経営:
階層や役職の上下関係なしに全員で管理業務を行い、役職は地位ではなく専門性や興味を表します。
そして上下関係がないからこそ社内で個性を発揮できるようになります。
②全体性/ホールネス:
職場で一人一人の個性や人間性を職場で100%発揮することです。
そうすることで、自由・安心・信頼が生まれ、家に帰るような感覚で仕事に行くことができるようになります。
③存在意義:
組織が何のために存在しているのかを組織内で一番大切にすることです。
そうすることで、社員は組織の意義や目的に沿って意思決定を行うようになります。
※ティール組織について詳しくはこちらを参照→「【ティール組織】ヨーロッパ研修レポート-ティール×インテグラル理論-」
2. ホラクラシー型組織とは?
ホラクラシー型組織とは、社員一人一人が組織共通の目的に従って意思決定をし、アクションを起こす権限を与えられている自律型組織です。
ホラクラシー型組織には3つの大きな特徴があります。
・Roles/役割:
ホラクラシー型組織では、社員に役職・ポジションのタイトルが付与されません。
代わりに、業務内容を細かく整理して、それぞれの”仕事”に”役割”を与えます。
役割には決められた目的と責任が伴い、社員は自分の業務内容に応じて必要な役割を担います。
・権力の分散:
社員に大きな裁量権が与えられるため、許可されていないアクションや意思決定はほとんどありません。
同時に社員は組織共通の目的に従って意思決定を行うので組織がカオス化することはありません。
・戦術的な仕事(Tactical work):
ホラクラシーはアジャイル開発とデビット・アレンズのGTD(Getting Things Done)の方法を組織全体に応用しているので、仕事に無駄がないことが大きな特徴です。
※ホラクラシー型組織について詳しくはこちらを参照→「ホラクラシー型組織とは?3つ特徴と導入ステップ」
3. ティール組織とホラクラシー型組織の違い
では、ティール組織とホラクラシー型組織の違いとは何なのでしょうか?
結論から言うと、両者に大きな違いはありません。
ホラクラシー型組織はティール組織の一種であり、主に自主経営に特化したものです。
ティール組織という組織的概念を体系的に、より実用的に体現するための経営方法と言ってもいいでしょう。
そのためホラクラシー型組織には、非常に具体的なルールや導入ステップが存在します。
一方、ティール組織はどちらかと言うと組織の状態そのものを表します。
なので、ティール組織という概念は組織が今どの段階にいるのか、どこを目指し、どのくらい発達しているのかを分析するのに非常に役立ちます。
組織は様々な部署やシステムで構成されていますから、ある部分がティールで、他の部分はレッドやグリーンの組織であることがあり得ます。
そういった組織のレッドやグリーンの部分、ティールに達していない部分をティールに持っていくために活用できるのがホラクラシーです。
実際にホラクラシー組織の細かい特徴を見ていくと、ティールの考え方と通じる部分がたくさん見つかります。
例えば、ホラクラシーでは権力は分散されていますが共通の目的に向かってそれぞれの権力は行使されます。
これはティールの存在意義と合致するやり方です。
いかがだったでしょうか?
基本的概念が同じティール組織とホラクラシーですが、ホラクラシーの方が具体性のある経営方法であるのに対し、ティールは組織の現状や向かうべき状態を細かく示した理論であると結論づけることができそうです。
ティールマップを使って自社が現在どの成長段階なのか診断したい方はこちら。