ティール組織を批判する人とどう働くか

ティール組織に抵抗、批判する人とどうやって一緒に働くか【続・フレデリックラルー氏動画②要約】

「ティール組織に抵抗、批判する人とどうやって一緒に働くか」と題して、「ティール組織」著者のフレデリックラルー氏による動画の要約をお届けします。

フレデリックラルー氏は書籍のほかに、100を超える動画を公開してくれています。本記事では、その中の「シリーズ2(後半). ​ティール組織に抵抗、批判する人とどうやって一緒に働くか」の要約をご紹介させていただきます。

ぜひご参考にされてください。

▶元の動画「​Perspectives on the journey」はこちらから

▶ティール組織を実践するためのティール組織診断マップはこちらから

 

ティール組織に抵抗、批判する人とどうやって一緒に働くか

この変容の旅、組織の変容について議論している時によく聞かれるのが、抵抗・反対する人たちとどう向き合うか、という問題です。

そして変容に成功した多くのリーダーたちによると、一番の対処法は抵抗する人に焦点を当てず、熱意のある人に焦点を当てることだそうです。

これには3つの理由があります。

1つ目は、エネルギーを正しい方向に向けるためです。熱意のある人に焦点を当てることで、抵抗する人を気にしないようになり、エネルギーは自然と正しい方向へ向いていきます。

2つ目は、エネルギーを無駄にしないためです。抵抗する人と向き合うことは多くのエネルギーを要し、そこで使うエネルギーはあまり生産的でないことが多いのです。

3つ目の理由は、熱意のある人に焦点を当てることで、彼らの中に抵抗する人に向き合ってくれる人が生まれるからです。彼らは、抵抗する人にネガティブなエネルギーを持ち込まないように促してくれるようになるのです。

抵抗者にとってもリーダーに言われるよりも仲間に言われた方が効力は大きくなります。

ただ、この時に注意すべきなのが、人を型にはめて決めつけないことです。

私はここで「熱意のある人」と「抵抗する人」で分けていますが、何らかのラベルをつけることは非常に危険で、この抵抗者の現象はとても一時的なものかもしれません。

初めにとても抵抗していた人が変容の最後には非常に熱心な人に変わっていることもよくあります。

もしかしたら抵抗している人は、過去の経験から単にとても批判的になっているだけかもしれません。

彼らのレッテルを信じてしまうと、抵抗者を無視し、ひどい扱いをしてしまうことがあります。

組織の変容の品位は、あなたが抵抗する人をどう扱うかで決まります。

もちろん上述したように多くのリーダーが語っていた方法には効果はありますが、大切なことは常に全員に変容の招待状を送り続け、受け取ってくれた人にフォーカスするのが良いでしょう。

そして私が思うに、受け取ってくれない人にも敬意を示すのが大切です。

もしかしたら彼らの批判的な態度は、過去の経験から保証されているかもしれません。過去に同じことを試して仕組みのせいでうまくいかなかったのかもしれません。私たちはそれを認識し、敬意を表するべきなのです。

ここで、上述したのと全く異なる答えを提示したい。

もしかするとあなたは抵抗者と向き合ってもいいかもしれません。

ここで大切なのが、彼らの不平の表面的な部分だけを見るのではなく、より深いレベルで好奇心を持って潜んでいるニーズを探ることです。

彼らの不平/不満は生産的でないかもしれないが、その下のニーズは非常に興味深いものです。

典型的な抵抗者は、セルフマネジメントになるとどうやって組織が運営されているか理解できなくなるからです。

私は何を期待されているのか、何が起こるのかわからないため、組織に貢献するためにまずは明確さが欲しいのです。

この場合、抵抗者は変容に何が必要なのかを教えてくれる存在となります。

ティール組織/インテグラル理論のステージでいうと、アンバーに当たる所の明確さを求めるニーズです。

抵抗者は、熱意のある人が上部でこじつけていた現実的なニーズを指摘している可能性があるのです。

例えば、ある組織では、変容の中で過去の組織で良かったことまが否定されていることに納得がいかなかったために抵抗していた人がいましたが、彼女は単に過去の良かったことを皆んなで認識してから前に進みたかっただけでした。

大切なことは、人の声を聞き、そこに潜むニーズに焦点を当てることなのです。皆んなで集まってそれぞれの思いや不安を聞く会を開催するのもいいでしょう。

私の最終的な結論としては、上にあげた2つの方法を組み合わせるのがいいということです。

熱意のある人に焦点を当ててエネルギーをそちらに注ぎつつ、少しだけ抵抗者にも時間を割いて、彼らの深いニーズを知ることで、彼らのためだけなく、自分や組織全体のために必要な今まで見えていなかったことを探ってみましょう。

しかし、行き過ぎたケースで抵抗者が一線を超えてボイコットやサボりを始めた場合は、すぐに強制的に介入する必要があります。

セルフマネジメント組織において強制的になることは矛盾しているように感じるかもしれませんが、この場合は多少強引にならなくてはいけません。

あるフランスの組織では、CFOが非常に反発的で組織の変容を妨害していたのでCEOが介入し、彼を役割から下ろしました。

その後しばらくするとCFOは戻ってきて、泣きながらCEOの介入に感謝したそうです。

一般的にCEOは、介入に非常に慎重になります。

彼らを介入しにくくさせているのは、単に同僚たちがこの変容についてどう思っているか、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを話す機会を設けていないからです。

そのため介入するよりも、まずは人々がこの変容の経験について話し合える場を設けて、同僚同士で解決できるプロセスを作るのが良いでしょう。

最後に、少し違った形として、抵抗ではなく無関心という場合もあります。

私はあるチリの農地ビジネスの組織のリーダーとの会話を鮮明に覚えています。

そこでは、多くの社員が無関心だったそうです。

彼らはきちんとした教育を受けてこなっかった人達で、長い間見下され、自信を失っていて、リーダーの送った組織変容の招待状に全く関心がなかったそうです。

彼らは長い間無下に扱われてきたため、色んなことに疲れてしまったのかもしれません、もしくは過去の酷い扱われ方に怒りを感じているのかもしれません。

しかし、リーダーは彼らの過去の経験にとても同情し、彼らを何とか助けてやりたい、環境を変えてやりたいという思いがありました。

そこで私は、その熱い思いを彼らに伝え、彼らの声を聞いて話し合うことから始めるのが良いとアドバイスしました。

その後何が起こったのかはわかりませんが、きっと彼の組織では力強く、美しい会話が繰り広げられたことでしょう。

 

ティール組織への変容の現実と影

このトピックは少し哲学的に聞こえるかもしれませんが、実は非常に現実的な示唆を含んでいます。

考えてみてください、この変容の旅を続ける中で起こる起こるいくつかの変化の中で、メンタルモデルの中で物事を見て生きるのではなく、現実の中で見て生きるというもの変化が起こります。

私たちよく現実そのものではなく、心理の中の現実のプロジェクションを見ています。

そのため、時に存在していないのに見えるものや存在しているのに見えないものがあるのです。

例えば、あるCEOが戦略立案をしたいとします。しかし、彼になぜそれをしたいのかと聞くと明確な答えが帰ってきません。

彼は戦略が必要であるという固定観念に縛られて、見えない圧迫感にかられているのです。

もう一つの例です。私たちはどのくらいの頻度で、まだ起こっていない問題に対するポリシーや手続きについて考えるでしょうか?

何か起きた時のために用意しておこうと考えてしまいがちですが、大抵は問題が起こった時点で対処を考えても間に合います。

つまり、存在していないもしくは今後も起こらないかもしれない問題について私たちは考えているのです。

私たちは現実になっていない潜在的なリスクについて予見して準備することが当たり前の世界に生きていますが、95%のリスクは実際に起きてから対処できるのです。

逆のパターンもあります。

現実に存在しているのに見たくないから見ないものです。

この組織変容の影に関するセッションに数ヶ月前に参加しました。そこにはセルフマネジメント組織にも何か落とし穴があるのではないかと心配する多くの人が集まっていました。

そこで気が付いたのは、私たちがこの落とし穴を影と呼ぶ理由は、見たくない現実だから影に追いやっておこうとするためです。

なぜ見たくないのか?それは私たちのメンタルモデル、固定概念にフィットしないからです。

いくつか事例を紹介しましょう。

ある組織では、変容しても結果の数字が芳しくありませんでした。しかし、ティールやセルフマネジメントといった新しい組織では、結果や数字よりも感情や人を大切にするために、この組織では結果を影に追いやって見ないようにしてしまったのです。

確かに感情は大切ですが、結果ももちろん大切なので現実に向き合って対処しなくてはいけません。

また、違う組織では仕事を妨害しているがいましたが、新しくなった組織では皆んなが平和に働くものだというメンタルモデルからその事実を影に追いやっていました。

しかしそれはただの固定概念であり、現実ではあなたやあなたのやりたいことを妨げている人がいるので対処しないくてはいけません。

もう一つ典型的な例をあげると、新しい組織ではトップが意思決定をしないというメンタルモデルからトップが何もしなくなることがあります。

しかし、それは大きな間違いで、現実的にはヒエラルキー的でない方法でトップが意思決定をできる道を探すべきなのです。

以上のような事例がなぜ起こるのか、つまりなぜ影が生まれるのかは、ティールやセルフマネジメント組織では「これが起きてはいけない」「あれがあってはいけない」というメンタルモデルがあるからなのです。

これに対処するには、心理的な訓練が必要です。

メンタルモデルに沿って考えるのではなく、なるべく現実をそのままみる訓練が必要なのです。

ホラクラシーでは、tension(テンション)という言葉を使います。

これは問題や機会について話す中性的な方法ですが、私がこの言葉について興味深いと感じたのは、私たちがテンションを感じる時は現実に何らかのテンションがあって、それを頭ではなく体のどこかで感じているということです。

何か問題が起きていると感じる時やワクワク感やチャンスを感じる、そういったテンションは頭で言葉にするよりも先に体で感じています。

そのため、メンタルモデルの中に生きるのではなく現実に生きることは、より良いセンサーになることだと言えるでしょう。

頭ではなく体で、何が起きているのか、何がよりよくなるのかといったテンションを感じられるようになれば、現実を捉えることができるようになるでしょう。

とにかく、私のアドバイスとしては現実をなるべくそのまま見るようにして、周りの人と話をする中で自分が影に追いやろうとしているテンションを感じ、問題に対処しましょう。

一方、何かテンションを感じた時は一度立ち止まって、「これは本当のテンションなのかどうか」を考えてみてください。時には、意識するばかりに何かを作り上げてしまっている可能性もあるからです。

この訓練が大切な理由は、人がメンタルモデルの中でいきている時、つまり影に現実を押しやっている時は、多くのエネルギーを消費しているからです。

現実をそのまま受け止めることで、エネルギーや行動力や人間性も戻ってきます。

そしてこれは組織としてはもちろん、個人にとってもこの変容の旅がもたらしてくれる素晴らしいことのなのです。

 

ユーモアと気軽さ

私たちは普通組織の中でとても真剣でシリアスです。

もちろん組織は高潔な目的を持ち、それは私たちにとってとても意味あるものです。

更にお金や仕事も掛かっているので、一定の真剣さは求められるものです。

しかし、考えてみると家族や友人は自分にとって仕事より大切にも関わらず、その中身は多くのユーモアや気軽さにあふれています。

この理由は、私たちの真剣さや神妙さは仕事の顔、プロフェッショナルなマスクと繋がっているからです。

私たちが全てと距離をとって、安心できると感じるためにつけなくてはならないと考えているマスクです。

ユーモアや気軽さや好奇心というのは、そういったマスクを壊して組織で人間らしくいさせてくれます。

ハイリンゲンフェルドという組織では、会議を1分間の沈黙かジョークで始めるそうです。そうすることで、いいアイスブレークとなり、気軽に話し合えるようになります。

また、サウンズトゥルーという組織ではある日に全員パジャマで一緒に朝食をとり、その後は普通の服に着替えて仕事をしようというイベントを行ったそうです。

しかしそのコンセプトが非常に面白かったため、最終的に一日中パジャマで過ごすことにしたのです!

この組織は未だに伝統的なヒエラルキーが残っているにも関わらず、マネージャーがパジャマ姿でいることで部下との関係が少し変化することに繋がったそうです。

このように、ユーモアや気軽さを取り入れる様々な方法を考えることはとても面白いと思います。

例えば、CEOの専用駐車スペースを単になくすのではなく、面白いサインをつけてみたり、週末にボランティアを募って退屈なオフィスのデザインを改装したり、、、

私の個人的な経験ですが、かつてインターネットのスタートアップで働いていた頃、その会社には沢山のおかしなぬいぐるみが置いてありました。

社員はその中から一人一つぬいぐるみを選ぶことができ、机に置いたり会議やランチなどに連れて行きました。これは本当に馬鹿馬鹿しいことですが、自分の色んな側面を曝け出すことに繋がっていたのです。

こんな風に真剣さや深刻さを打ち破ることで、大きな安心感が生まれ、自分らしくいることができるようになります。

そしてこれは組織のリーダーへの質問ですが、

ユーモアや気軽さはあなたの人生にとってどんな役割を果たしていますか?

そしてどのくらいユーモアや気軽さを生活に取り入れていますか?

もしあなたがより多くのユーモアや気軽さを望んでいるなら、この組織変容の旅が望みを叶える一つの方法かもしれません。

もしくは、もしあなたがそれを望んでいなくても他の誰かは望んでいて、組織を面白い場所へ変える権利を欲しているかもしれません。

それならば、その人に組織をユーモアや気軽さが溢れる場所に変容してもらうよう頼むのもいいかもしれませんね。

 

新しいコミュニケーションの方法

新しい組織に変わろうとしている時に、つまらない文章の並んだwordやPowerPointの資料といった古いコミュニケーションの仕方をなぜ取ろうとするのですか?

私はそういった資料を見ると思考が停止し、読みたくないと思ってしまいます。

一方、ある組織ではとてもカラフルで完璧で、なんだか本格的で、グラフィックデザイナーが広告のような資料を作っていました。

しかし、それもとても時間と費用がかかります。

では、新しいコミュニケーションはどのように行うのが良いのでしょうか?

どうやって組織を変えるための新しい取り組みをみんなに伝えたらいいのでしょうか?

WordやPPTもいいですが、もっと色んなことを試してみるのもいいでしょう。

例えば、ビデオを作るとか。クオリティの高いものでなく、スマートフォンで会議を簡単に撮るのもいいでしょう。

洗練されてはいませんが、より現実的で、素早くできるので十分だと思います。

もしも文書化された資料が欲しいなら、イラストを入れるのがおすすめです。

淡々とした文章だけよりも、イラストのある方を好む人は過去にも沢山いました。

そしてもし誰かそういったことが得意な人がいたら、手伝ってもらうようにするのが良いでしょう。

もしくは、ロビーに大きなポスターを貼り付けて、人々に色々描いてもらうのもwordやPPTよりずっといいかもしれません。

とにかく、クリエイティブになって、より現実に沿った、本格的で素早いコミュニケーションの方法を考えてみてください。

伝えるフォームの他にも、どんなメッセージにするか、表現するかどうかも大切なポイントです。

一つ考え方を紹介します。

メッセージをみた時に表現の何%が頭から来ていて、何%が心や腹の底から来ているか?

私たちはもちろん100%頭で考えるように訓練されていますが、それではとてもドライで冷たくなってしまいます。

そうではなく、より個人的になって、”We”や”Us”といった言葉を使って感情を表現するようにしましょう。

例えば、誰かが透明性を高めるために全会議の議事録を公開してサーバーにあげることを提案したとしましょう。

それはとても革新的ですよね?

しかし、提案書が冷たく淡々としたものだったら、読んでもワクワクはしません。

では、より自然に書くにはどうしたらいいのでしょうか?

これは私のやり方ですが、「私たちは本来は知っているべきだったことを噂で聞くと不満を感じます。

これをなくすために、全ての議事録を直接サーバーにあげ、誰でも見れるようにしましょう。」

このように提案した場合はよりパーソナルで心に響きます。これは一つの方法ですが、様々な表現の仕方があるということを是非考えてみてください。

上記に挙げた全ての例は一方的なコミュニケーションでした。

そしてそれは従来の組織でのコミュニケーションのやり方でしたが、面白いことに新しい組織へと変容を遂げた組織では、双方向のコミュニケーションがとても増えるのです。

従来のようなリーダーのモットー「いつでも訪ねて来ていい」はもう通用しなくなっていきます。

新しい組織ではアジェンダもなく、自由に好きなことを話せるスペースができています。

そのスペースへのニーズは確実に存在するのです。

小さな組織では、週1で朝食やランチを一緒に食べながら話す時間を設けるのもいいでしょう。

一方ある大きな組織では、ビデオストリーミングを使って誰でも、何でもリーダーに質問できる時間を設けていました。

そしてビュートゾルフ(オランダの有名なティール組織)ではブログを使って、CEOが招待状を送り続け、従業員が反応できる仕組みが出来上がっていました。時にはスレッドが大いに盛り上がって、とても双方向的な会話に発展することもあるそうです。

とにかく、ここで私が言いたいのは、組織のコミュニケーションを一旦見直してみて欲しいということです。

従来型のコミュニケーションは、淡々として冷たく、頭で考えられたもので、一方的なやり方です。

一方、これから向かう新しい組織では、そのやり方は通用しません。

なので、是非とも新しいやり方を考え、実験して、色んな人を巻き込んでやってみてください。

それを始めると、コミュニケーションがよりリアルなものになってくるでしょう。

 

コーチ、コンサルタント、ファシリテーターのルールとは?

面白い質問があります。

この素晴らしい変容の旅をコーチやコンサルタントやファシリーテーターがサポートするとしたら、彼らはどのような役割を果たすでしょうか?

これまでこの変容を経験してきたどの組織も大手のコンサルティングファームの力を借りていません。

というのも、大手コンサルティングファームは未だティールでいうオレンジ組織で、機械的に考えて、全てを事前に綿密に計画し、実行しようします。

しかしこの組織変容のやり方にはそういった従来の方法は活用できません。なので、自然にクラシックなコンサルティングファームが関わってくる事がなくなるのです。

では、コンサルタントやファシリテーターはこの組織変容には全く必要ないのか?

というとそれは行き過ぎな考え方です。

そうではなく私が提案するのは、以下の4つの考えです。

1つ目は、彼ら(コンサルやファシリテーター)はあなたを助ける役割を担える、という考えです。

フランス語に、”accompagnent à toi”というとても美しい言葉があります。

「あなたと一緒に道を歩んでくれる人」という意味で、変容の旅の間あなたと共に、知識や専門性や第三者の視点などを提供しながら一緒に冒険をしてくれる人を指します。

コンサルタントやコーチなど英語ではなかなかしっくりくる言葉がありませんが、共に歩んでくれる人という意味合いのこのフランス語が一番しっくり来ます。

そしてここで大切なのが、リーダーとコンサル/コーチ etc. との深いレベルでの信頼関係です。

コーチとなる人は、耳を塞ぎたくなるような事でも率直に意見を述べてくれて、それに対して素直にあなたが受け止められるくらい信用できる人でなくてはなりません。

2つ目の考えは、3つのレベルに分けられます。

レベル1は、CEOのパーソナルコーチです。

他のビデオでも述べてきましたが、この組織変容でCEOの役割は大きく変わりますが、それでも尚大きな責任が伴います。

それに対し率直にアドバイスをくれて、CEO自身がとても信頼でき、頼れる存在となるコーチが必要です。

レベル2は、エグゼクティブチームのコーチです。

いくつかの組織はこの変革を組織全員ではなくエグゼクティブチームと共に行います。

そのため、CEOだけでなくエグゼクティブチームにも、矛盾したメッセージを全体に発信しないように見守るコーチが必要かもしれません。

エグゼクティブチームのメンバーの中にはもしかするとこの組織変容について全く理解していない人がいるかもしれません。

そのような人には、コーチやファシリテーターの存在が不可欠となります。

3つ目のレベルは、組織全体へのコーチです。

この変容の旅には参加へのたくさんの招待状などが必要となるため、組織外部の力を借りてディスカッションのためのスペースを作ったり、不安を解消したりするのもいいでしょう。

ここで興味深いのが、コーチの中には3つのレベルと同時に働ける人がいるという事です。

社員の声を聞いた後に、CEOと話をして現場の声を届け、CEOと組織全体両方が不安を感じないようにする事ができます。

コーチングの世界では、一般的に異なるレベルを一人がマネジメントする事はよくないとされていますが、もしそれだけの力量のある人なら、3つのレベルを同時にコーチした方がより効果的なのです。

3つの目の考えは、専門性についてです。

あなたはコーチにどんな専門性を期待しているのでしょうか?

大きくは、単純に意味のある議論をするためのスペースを作る事ですが、時には外部のコーチに多くを期待してしまう組織もあります。

そうすると、実は組織が自身でソリューションを見つける機会を奪ってしまうことになります。

良いコーチは、組織の専門性へのリクエストを逸らし、どんな専門性が組織の中に存在しているのかどうかを見極めようとします。

一方で、新しい組織の中には全ての答えが揃っているのだから外部の専門性など必要ないと言い切ってしまう組織もあります。

しかしそれも極端すぎます。特にセルフマネジメント組織には、全部の答えはないかもしれません。

セルフマネジメントのチームになると、思考の方法がこれまでとまるで変わりますが、誰もそう言った考え方には慣れていません。

そのため、ヒントをくれる誰かが必要となるのです。

したがって、常にコンサルティングに頼るのではなくても、必要な時に外部の専門性の力を借りるのが良いでしょう。

そして4つ目の考えは、4象限のビデオでも紹介しましたが、私たちは皆Preference(好み)とBlind spots(盲点)があるということです。

これはコーチにも当てはまります。彼らにも好みと盲点があるのです。

コーチの中にはプライベートな会話、つまり自分の中の成長や内なる視点について話すのを避ける人もいます。

そしてもしかしたら、あなたにより深いレベルの質問をし、深層心理を表に引き出してはくれないかもしれません。

逆に、システムや実践を自然と避けてしまうコーチだと、その部分の変容が疎かになってしまいます。

これはとても興味深いのですが、ひょっとするとあなたは無意識に自分の好みと盲点を持つコーチを選んでしまうかもしれません。

そのため、4象限に関するビデオを見ておくのはとても面白いと思うのでおすすめします。

以上がコーチやコンサルタントに関する私の4つの考えでした。

この考え方は、どうやってサポートしてくれる人を見つけるのか?という時に役に立つ考え方です。

おそらくあなたを助けたいと思っているコーチやコンサルタントやファシリテーターは沢山いるでしょう。

しかし、あなたに一番合った人を見つけるにはどうしたらいいのか?

そう考えた時に上で挙げた4つの考え方を質問にして自分に問いかけてみましょう。

①この人からなら厳しい真実を伝えられても受け入れられると思える人かどうか?

②どのレベルでその人に働いてほしいと思うか?

③その人はこの新しい組織に関する専門性や経験があるかどうか?

④その人のPreference(好み)とBlind spots(盲点)はどこか?

みなさんが自分にあったコーチ/コンサルタント/ファシリテーターを見つけられることを願っています。

ティール組織における理事会/役員会の役割とは?

理事会/役員会はどのような”ティール組織”においてどのような役割を果たすのでしょうか?

そして役員会をどのようにして従来型から新しい組織にあったものに変革したら良いのでしょうか?

いくつかの組織では、理事会が物事を従来型の視点から抜け出すことに苦戦しています。

ビュートゾルフ(オランダで有名なティール組織)では、初めは専門性を基に委員会メンバーを選抜していましたが、彼らはあまり組織を理解していなかったので、少しずつ委員会メンバーを新しい組織に対して理解のある人に変えていきました。

これも一つの変容の旅で、理事会を少しずつ新しいバージョンに変革していくのです。

またある組織では委員会メンバーが組織変容に理解を示さず、明確なプランや予算の提示を求められたので、適当に作ったプランで納得させ、改革を水面下で進めていきました。

しかし、目に見える数字的な結果で委員会を満足させなくてはいけないプレッシャーはとてもヒエラルキー的で長期的に良いソリューションとは思えません。

長期的に見て一番良いのは、やはり理事会にあなたが望む理想の組織を理解してもらうことでしょう。

新しい組織の理事会には2つの既存の役割と、2つの新しい役割があります。

一つ目の既存の役割は、会社を監督して法的な義務を果たさせることです。

この役割の視点においては、理事会が組織で何が起きているのかをしっかり把握して、全てがうまくいっていることを確信しておきたいのはとても自然なことです。

ここで生じる疑問が、どうやったら彼らにその確信を与えられるでしょうか?どうしたら従来のやり方でなくても彼らは組織をコントロールできるのでしょうか?

もちろん計画書や報告書といった書類で見せることもできますが、実際はそういった書類はただのイリュージョンなのです。

世の中の組織がそういったやり方をとっているのに突然経営破綻に陥るのは、現実で何が起きているかを理事会が実は把握できていないためです。

書類上の言葉や数字は実はとても抽象的で現実を映し出してはいません。

もちろんそういった報告書を全て廃止するのも極端ですし、数字や報告書には大きな価値がありますが、そういったデータだけを使ったコントロールはある意味イリュージョンなのです。

そこを変えるためには、委員会のメンバーとしっかりと議論することが大切です。

どうしたら現実的に組織を管理できるのか、監督できるのかどうかを。

そしてわたしの考えでは、おそらく結果は理事会のメンバーにより時間を割いてもらうことになるでしょう。

これまでは会議が近づくと突然忙しく書類を用意して、会議にあなたが行って説明するスタイルでしたが、それよりも委員会メンバーを組織に招待し、実際を見てもらうのです。

そのための一つのわかりやすい方法は、アドバイスプロセスに理事会メンバーを招待することです。

理事会メンバーを選ぶ時に、おそらく特定の専門性、例えば法律に詳しい、マーケットに詳しいなど、を求めて選んでいると思います。

そこで、チームで悩んだ時に組織内で解決するのではなく、理事会のメンバーにも相談してみてはどうでしょうか?

そうすることで、理事会メンバーは組織により深く、現実的に関わることができるようになるのです。

もしくは、報告書作りのプロセスに招待するのもいいかもしれません。

プレゼンを発表するのではなく、組織に招いて一緒に作ることで理事会はより深く組織に関わることができるでしょう。

とにかく大事なことは、どうやったら理事会が会社を管理/監督するというニーズを満たせるかどうかです。

2つ目の大きく変わり得る既存の役割は、CEOの指名です。

というのも、新しい組織への変容中にCEOが変わったとして、もし理事会が伝統的なやり方を好む人を選んだ場合、組織は従来の方向に戻ってしまいます。

では、理事会という法的な役割の中でどうやったら最適な人材を選ぶことができるのでしょうか?

ここで提案したいのは、理事会がCEOを1人選ぶというよりも、CEOが現れるプロセスを作るということです。

他のビデオでCEOについて色々語ってきましたが、新しい組織ではCEOをタイトル、枠の中で捉えるのではなく、その人が担う役割という視点で考える必要があります。

なので、CEOが変わる時は前任がどのような役割を担っていたか考えてみてください。

例えば、組織全体の目的を意識させる役割や組織変容の招待状を皆んなに送り続けて新しい組織のことを思い出させる役割など、、、。

こういった役割を担えるどうやったら他の人に任せるかを考えてみてください。

ヒエラルキー的に誰かこのポジションにつくのか、という競争の概念で考えるのではなく、役割を明確にした時に自然に現れる誰かがCEOになるべき人です。

具体的な一つの方法は、候補者を選ぶプロセスです。

ホラクラシーなどで調べると出てきますが、まず原則として候補者は選びません。

組織全員に聞くか、自然とそういった役割を果たせそうな人を知っている身近な人たちに推薦してもらうのが良いでしょう。

そうすることで自然とCEOに相応しい人材が出てきます。

WL GoneでTerry KellyがCEOに選ばれた時、実際に似たようなプロセスを採用していました。

理事会は沢山の人に誰がいいかを聞いて回り、CEOを選んだのです。

では、次に既存ではない新たな理事会の2つの役割について話します。

一つは、組織のトップ達と深く、個人的な会話ができるスペースを作ることです。

彼らが今どこにいるのか?楽しんでいるのか?まだ学んでいるのか?次の目標は何か?

また、あなたの人生の目的や目標と組織の目的は密接に繋がっているか? …etc.

私たちは皆んなそういったスペースを求めています。

そしてどれだけ頑張ってもこういったスペース、機会は組織のシニア層には自然と訪れることはありませんし、若い層がリーダー達にそういった会話を投げかけることも少ないはずです。

なので、理事会がその役割を担うことはとても自然で美しいことなのです。

もう一つの新たな理事会の役割は、組織外部の視点をもっと組織にもたらすことです。

以前モンテソリスクールの大きなネットワークをリードするある友人との会話で、理事会について聞かれたことがありました。

私はその時、彼にこう言いました。

理事会の中で最も外部の視点をもたらし、私たちにチャレンジを与えてくれ、新たな刺激をくれる人は誰か考えてみたほうがいいと。

これは理事会の人でなく他の人でもいいのですが、これはとても興味深い理事会の役割だと思います。

理事会の誰かがあなたに学びの旅をもたらしてくれるのです。

これが理事会の新しい役割で、これは理事会にとってもとても価値のあることだと思います。

 

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